2010年01月04日

主語・視点の転換

まず俺が最初に目にした記事はコレね。
「新年早々ひどいことに」母娘は前日ディズニーランドに… 大田区の3人死亡火災 - MSN産経ニュース

 新年の住宅街に爆音が響き、炎が3世代が暮らす家を飲み込んだ。東京都大田区で3日早朝に起きた住宅火災。火元となった桜木節子さん方は仲の良さが評判の家族だった。孫の夏海ちゃんは前日に東京ディズニーランドに行き、幸せな正月気分を味わったばかり。近所の人は「新年早々こんなことに」と絶句した。

 ディズニーランドに一緒に行ったのは母親の裕子さんと、保育園時代の同級生の女児らだった。同級生の祖父(72)は「楽しそうに出かけたのに、まさか翌日にこんなことになるとは」と驚いた様子。小学校の同級生の女児(9)は「皆から『夏海ちゃん』『なっちゃん』と慕われていた。木登りが得意で、2週間前も公園で一緒に遊んだばかり」と言葉を失った。

 近所の住民らによると、裕子さんは沖縄で結婚生活を送っていたが、夏海ちゃんの出産を機に実家に戻った。認知症の節子さんを介護しながら、夏海ちゃんを育て上げた。

 裕子さんの中学高校時代の同級生、玉山智子さん(48)は「穏やかだが、とてもしんの強い人だった」。家族ぐるみの付き合いをしていた近所の石田照代さん(72)は「仲の良い家族で、夏海ちゃんを宝物より大切にしていた。新年早々、こんなひどいことが起こるなんて…」とうつむいた。

日本人が書く日本語の文の特徴として有名なのは「受け身」「主語の喪失」があるのね。これは、小栗左多里&トニー・ラズロ著のダーリンの頭ン中で触れられているケースが分かりやすい。
この草花は、昔からあるとされていますが、「最近は見ない」とも言われており、早急な確認が求められております。
「あるとされている」
「言われている」
「求められている」
…誰に!?

人々なのか
学者なのか
あるいは会社や団体なのか
また主語は I なのか They なのか
これ見たとき、正直、違和感は感じなかったけど、確かに「誰に?」と言われてみれば明確な答えは出てこないわ。せいぜい「著者」か「俺(読者)以外の誰か」という曖昧な答えしか出てこない。


さて、俺はこれ以外にも、日本人が書く日本語の文の特徴として「主語の転換」「視点の転換」があると考える。「主語の転換」の例は、古い読者にはおなじみの、コレだ。
自閉症児者の「こころ」を自閉症児者自身が探し求める場ーー高機能広汎性発達障害(高機能自閉症・アスペルガー症候群)への心理療法的接近からーー辻井正次

近年、自閉症(自閉性)をスペクトル(連続体)として捉えるべきだという見解が専門家レベルで主流となっていても、日常の臨床では自閉症に関してというと、幼児期のこだわり行動や多動などの症状が華やかな時期の早期療育や治療に関して、あるいは知的な遅れを伴う自閉症児の治療教育については多くが語られるが、知的な能力の高い(高機能の)自閉症について、特に彼らの青年期以降について関心がもたれるようになってきたのは近年になってからである。
一発で読めたら、アナタは凄い。(細かい固有名詞の意味は置いておいて、だ。)

この文章の、俺なりの読解は過去ログにあるので参照して。本題とは関係ないので省く。

結局、この文章がなぜ混乱するのかっつーと、「専門家レベルで主流となっていても、」までの主語は「専門家」、それ以降は「医者」が主語となっているから。句点が来る前に主語(視点)が変わるという、高度な日本語を駆使してある(皮肉)。高校の卒業を賭けた追試をお情けで通過した程度の俺には読み取ることのできない難文(皮肉)。

ということで、文中で主語(視点)が変わるというのは、非常に高度な文学技術だと思う(くどいですが皮肉)。

さて、それでは冒頭の産経新聞の記事を読み解いてみようか。
「新年早々ひどいことに」母娘は前日ディズニーランドに… 大田区の3人死亡火災 - MSN産経ニュース

 新年の住宅街に爆音が響き、炎が3世代が暮らす家を飲み込んだ。東京都大田区で3日早朝に起きた住宅火災。火元となった桜木節子さん方は仲の良さが評判の家族だった。孫の夏海ちゃんは前日に東京ディズニーランドに行き、幸せな正月気分を味わったばかり。近所の人は「新年早々こんなことに」と絶句した。

 ディズニーランドに一緒に行ったのは母親の裕子さんと、保育園時代の同級生の女児らだった。同級生の祖父(72)は「楽しそうに出かけたのに、まさか翌日にこんなことになるとは」と驚いた様子。小学校の同級生の女児(9)は「皆から『夏海ちゃん』『なっちゃん』と慕われていた。木登りが得意で、2週間前も公園で一緒に遊んだばかり」と言葉を失った。

 近所の住民らによると、裕子さんは沖縄で結婚生活を送っていたが、夏海ちゃんの出産を機に実家に戻った。認知症の節子さんを介護しながら、夏海ちゃんを育て上げた。

 裕子さんの中学高校時代の同級生、玉山智子さん(48)は「穏やかだが、とてもしんの強い人だった」。家族ぐるみの付き合いをしていた近所の石田照代さん(72)は「仲の良い家族で、夏海ちゃんを宝物より大切にしていた。新年早々、こんなひどいことが起こるなんて…」とうつむいた。

第1段落。登場人物は「節子さん」。「孫の夏海ちゃん」がいることから、「節子さん」は「夏海ちゃんの祖母」であることが分かるよね。登場人物は2人いるが、この段階で第3文目に「火元となった桜木節子さん方は」と初めて人物が出てきているので、普通に考えてこのあとも「節子さん」視点で読み進めることになるわけ。

ところが第2段落。「母親の裕子さん」と来る。「祖母である節子さんの母親」登場。ここで頭にハテナマーク。更に読み進めると「保育園時代の同級生の女児」と来る。意味が分からない。誰の「保育園時代の同級生」「の女児」だよ? そして次は「同級生の祖父」と来る。「女児の同級生の祖父にあたる人」なのか、「同級にあたる祖父」なのか。というか血縁関係の祖父の方? 節子さんの旦那? もうメチャクチャ。


もちろん、冷静に何度も読めば理解できるよ。

第2段落は、「夏海ちゃん」視点なのよね。「夏海ちゃんの母親の裕子さん」「夏海ちゃんと保育園時代からの同級生の女児」が登場人物として浮かんでくるやろ。そして、「夏海ちゃんと同級生の祖父(72)」が出てくるってわけ。

以上が真相。


なぁ、この文章ヒドくない?

第1段落の第3文の視点は「節子さん」。
第1段落の第4文の視点は「節子さんの孫の夏海ちゃん」。
第1段落の第5文の視点は「節子さん宅の近所の人」。
第2段落の第1文の視点は「夏海ちゃん(ただし省略されている)」。
第2段落の第2文の視点は「(夏海ちゃんの)同級生の祖父 (カッコ内は省略されている)」。
第2段落の第3文の視点は「(夏海ちゃんの)小学校の同級生の女児 (カッコ内省略されている)」。

第2段落の第1文で、省略されている主語「夏海ちゃん」を見出せなかった場合、それ以下の文章がチンプンカンプン元気よくになってしまう。

第2段落の主語が「夏海ちゃん」であることに気付かせるキーワードは、第1段落第4文にある「東京ディズニーランド」。「孫の夏海ちゃんは前日に東京ディズニーランドに行き」というくだりをしっかり覚えておかないと、第2段落の第1文の「ディズニーランドに一緒に行ったのは」と繋がらない。俺はこういう記事を目にしたとき、「登場人物」は気にするし、旅行して楽しい時間を味わったことは理解する。しかし「具体的にどこに行った」とかは意識の外だ。なぜならば、どこに行っていようとそれは結局「幸せが一転大惨事」に繋がる一部分でしかないから。「どんな幸せを味わっていたか」を具体的に覚えておく必要など無くない? ディズニーランドだろうが動物園だろうがゲームセンターだろうがどこでも良いし気にする必要無くない?


ということで、高校をお情けで卒業して底辺に近いゲームプログラマやってる俺にとって、産経新聞は、理解し難い高度な文章を使っていらっしゃる新聞、ということです。正直、朝日なんかのほうがよっぽど読みやすいよ。まぁ朝日は、文章は真っ当だが内容が破綻しているのでアレだが。産経は文章から破綻しているので読み辛いっつーことですわ。

あー、長文書いたら疲れた。
ラベル:国語 産経新聞
posted by 小川 at 14:37| Comment(0) | TrackBack(0) | チラ裏 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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