2008年11月25日

肉体ができているかどうか、か

鍛錬なくして資質開花なし…西武・岸孝之投手魚拓
清水満のSPORTSBAR

 野球では、肩は消耗品だという考え方がある。メジャーで確立された先発は100球をメドに交代し、中継ぎ、抑えという肉体を守るための“制限”と“休養”は確かに理にかなっている。

 日本シリーズで、西武・岸孝之投手(23)の熱投はすごかった。第4戦で先発完封、中2日の休養後、第6戦で救援というフル稼働は、人々の心を打った。シリーズという舞台がそうさせたのだろうが、“過保護”だけだったら、決して資質も開花することはなかっただろう。

 「ちょっとお前、投げてみろっ!」

 大学2年の時、監督から呼ばれた。チームの投手不足を補うため、野手練習していた肩の良さそうな男に声がかかった。ブルペンで100球、200球…。必死で投げる。そのうちに監督は居眠りをした、という。目覚めた監督が手に持っていたカウンターは100球に満たない…。監督とは島岡吉郎(故人)、絶対君主制的な存在。「これだけしか投げてないんか…」という言葉に、理不尽だが逆らえない。男は、来る日も来る日も投げ続けた。

 「けど、あの時の投げ込みで“強い肩”ができたと思います」。こう明大時代を述懐したのは鹿取義隆氏(51)。30年以上も前の話である。ソレが巨人、西武で19年間の野球人生を形成させた。755試合に登板、連投につぐ連投でチームに大貢献、耐えた肩は鍛えたからこそだと…。

 話を戻そう。

 岸は食が細く、180センチと長身ながら68キロ。太れない体質というが、よく走ると聞く。ソレがスタミナの源なのか、大学進学に際して、仙台六大学リーグの王者・東北福祉大を倒すため、あえて東北学院大に進む。3連投して東北福祉大の35連覇を阻止、チームを栄光に導いた。

 資質だけでなく、肉体を酷使する鍛錬なくして、この芸当はできない。「うまい選手はいっぱいいる。けど、“強い選手”がいないんだよね」と巨人・原辰徳監督(50)がよく口にする。岸にはプロで求められる『資質と強さ』をちょっと見た気がした。

 ゴルフ界の新星、石川遼(17)が先週末の「三井住友VISA太平洋マスターズ」で5位、3週前は優勝もした。17歳は「いまは鍛えるしかない。練習はウソをつかないし…」。この1年間で体重は13キロ増、ウエストを絞り、体脂肪は5〜6%台へと肉体改造した。確かに肉体は消耗品であるが、鍛えることで“大きく”なれる。

 せっかくの資質、無駄にして欲しくない…。

島岡御大と呼ばれるが、きっと俺だったら野球辞めてるだろうな(苦笑

それはさておき、メジャーと日本の野球選手の質の違い、ひいては日本人と欧米人の体の違いがあるのだと思う。

メジャーでは100球で交代というのが常識になっているが、いざというとき(完封やノーノー、完全試合できそうなときなど)は120近くまで放らせることもある。ただ、100球が安牌だし、中継ぎも充実したメンバーを揃えているからこそ、100交代ということが可能なのだと思う。

思うに欧米人は、すでに肉体が完成しているのだと思う。日本人が過酷な投げ込みで『強い肩』『強い肉体』を作るのに対し、欧米人は肉食と日々のトレーニングで十分に『強い肩』『強い肉体』ができあがるのではないか。ゆえに、日本人のような過酷な投げ込みをする必要がないのではなかろうか。(もちろん、強い肉体が遺伝する、ということもあると思う)

また、マイナーリーグの施設のひどさは、想像を絶すると聞く。多くのメジャーリーガーが『もうマイナーには戻りたくない』と必死で練習をするのだろう。二軍でも施設が充実している日本とは大きく違う。マイナーに居る、即ち、ハングリーさを養うということに繋がる。ゆえに、(名前を出して悪いが)度会みたいに一軍と二軍をウロウロしながらぬる〜くやってる選手なんて、メジャーには存在し得なのではなかろうか。

日本人は体質として、鍛えないと強くなれないのではないか。それは証明しているのは、衣笠や大野豊や松井秀や金本。岸には、銭闘も良いが、体と心を鍛えて、太く長く野球人生をまっとうして頂きたいものである。
ラベル:清水満 岸孝之
posted by 小川 at 11:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 野球 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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